「コガネムシ」

 

4月中旬

カラッと晴れた風の強い昼間。外からの光が充分に射し込む自室に居ると、

 

突然外から何やら声が。

少ししてから「イモムシがいるよー」と声を投げかけられたことに気づく。

イモムシ・・

どこだろう?と不思議に思いながらサンダルを突っかけ外に出ると、家のすぐ近くに声の主がスコップを持って佇んでいる。花の植え替えをしているのか。

花壇の葉を注視する。しかし、居ない。

ガかチョウの幼虫でも居るかと思ったが。

 

肝心のイモムシのいる場所は、予想していた野菜等の葉ではなく土の中だった。それも畑ではなく、鉢植え。

 

赤紫色の花・ペチュニアを植えているこの植木鉢の中に埋まっていたらしい。

その、掘り返されて一匹置かれたコロンと丸まったイモムシとやらは、どこからどう見ても「兜虫の幼虫」であった。

 

兜虫の幼虫は、とにかくわかりやすい。

全体的に乳白色を帯びていて、鼈甲じみた茶色の頭。等間隔に打ってある、頭と同色の斑点。尻は丸々と肥えていて、その黒々とした立派な膨らみに、大人しく動かないこの虫なりの生気が感じられる。 兜虫がこんなところにタマゴを生むとは!おどろいた。

 

同じ鉢植えの中にいた合計三匹をほじくり出す。(驚く事に一匹ではなかった)

 

そこから先の行動は完全に思いつきだ、

しまい込んでいた黒いフタの大型プラスティックケース、クヌギマット、そしてアイロン用の霧吹きを忙しく出していく。右手の平には幼虫。

プラスティックケースにクヌギマットをどさどさと詰めていき、霧吹きをこれでもかと吹き込む。

 

こんなもんか?ってところでよーくかまして、三匹を乗っける。

 

暫くは、土の上で死んだように丸まっていた三匹は微動だにしなかったが、少し目を離した隙に土に潜り込んだ。完全に潜り込まない一匹の尻が見えたが、これでひとまず安心か。

 

とりあえず今心掛けねばならぬ点は一つ。

明日から土が乾燥しないように面倒をみるのを忘れない、ということだ。

忘れっぽい自分が、殺さぬように。

 

一匹でも良いから、羽化を迎えるまで見届けてやる。