「世界から猫が消えたなら」

 

読み終えた。

 

とあるページに、折り目が入っている。

 

104ページ、2行目から始まるその箇所が、個人的には、一番胸を打った。

 

正直に言うと、作風的にはそこまで好みではなかったのだが、読んでよかった。

 

そのページの4行目には、

“死ぬときに浮かぶのは、あるべき未来への後悔だ”とある。

 

何かを惜しむような焦燥感って「生きたいっていう気持ち」を言語化するにあたって、凄く重要なワードだと思う。

 

こんなにシンプルな表現があったとは!

 

それはみっちりスケジュールされた今現在からのリアルな延長線上にあるものかもしれないし、もしくは全く異なる、遠い、離れたところにある、予測できぬ何かかもしれない。

 

だがそういうことではなくて、もっともっと細かく区切っていくと、身近な分岐点にあるような。・・・重要性の低い、割とどうでもいいものの話かもしれない。

 

死を意識してから、過敏になった神経により、やっと存在を認識するような、「なくてもあってもいいもの」ってある。

その多さはふと数えてみると、星の数だけあることに今更ながら気付く。その多さに思わず胸はザワつき、途方もなく不安な気持ちになり、やがてじんわりと焦る。

 

その尊さは、うまく言い表せない。

 

このニュアンスを読み手に伝える筆力が、凄いなあと思った。

 

もっとああすればよかったかもしれない、或いはこうすればよかったかもしれない。

 

その「しれない」

 

生きることについて、こういう角度から考えるのって、ロマンチシズムがあってたまには良いんじゃないか。

 

これはいい機会になった、と思う。