「虫」

 

なんとなく気分がすぐれなかったが、年に数回のお祭りだから「行かなければ」と思い重い腰を上げた。

 

昨日と同じルートでビルに入り、ほぼ開場と同時に着いたが、ヘビみたいに人の輪が動いてて、どこがそのヘビの尻尾なのかわからなくてウロウロと一周してやっと尻尾に並ぶ。

 

チョウのステッカーを貰い、進入。

 

・・・

 

・・

 

「××さんが○○を××円で売ってたよ」

「お疲れ様です」

「古いから安いんだな、劣化はしていないが」

「これ新聞に載ったやつで」

「×××と○○○と×××お願いします」

「触覚が残念だね」

「ありがとうございます」

「流石、綺麗だね」

「真珠色」

「最近はきてないけど」

お久しぶりです」

 

様々な会話が四方八方から響いていて、宝石みたいな煌びやかな、地球が産み出した作品が飛ぶように売れていく。穴あきの標本箱。

 

犇めく人間で身動きもマトモにとれず、荷物がぶつからない様に配慮しながら標本箱を眺めるのも一苦労だ。コートがとにかく蒸す。マフラーを緩める。

 

みんな楽しそうで、必死だった。

 

この世界のコミケとも言われるこのイベントは、私が心から愛している生き物達が大好きな「人間」を見ることができるのも、大きな意味がある。

 

年齢層も高く、男性が多いが、長年で染み付いている情熱がもう身体にこびりついているようで、熟成されたオタクという感じがして私はカッコイイと思うし素敵だと心底感じた。

 

私はいわゆるニワカだけれど、どんなものにハマっても「その世界に耽溺して浸りきっているオタク層」にいつでも勝手に敬意を払っている。

というか、そういう人間が好きなのだと思う。これも勝手な解釈で。

 

結論を言うと、メチャクチャ楽しかったです。

宝物を物質的にも沢山持ち帰ることができて、最終的には「行って良かった」の一言に尽きる。